お人好しのカニさん

 





お話の中で、カニさんは、お腹がすいている子どもたちへのおにぎりを、結果的にサルにあげてしまいます。
“柿の種は、育って身になれば、お腹いっぱい食べられるよ”
というサルの言葉に乗せられて。

サルは確かに間違ったことは言っていないし、正論でもあります。
でも、その育てた柿の実をちゃんと食べられたかというと、実際にはその育てた柿の固い実で、大けがをしてしまうという切なさ。

今、わたしの身の回りでも、見かけることがあります。
サル気質のお母さんは、上手にカニタイプを見つけ、言葉巧みに操ります。
でも、騙されるタイプの人って、どこか人を疑わず、騙されているのにその人のことを“いい人”だと信じ、感謝までしている人までいるのです。

先日、子供会の委員決めがありました。
カニタイプのしょう子さんは、クジで運良く副会長になったのです。
実は、この副会長、会長が動けないときの補佐とか、お手伝い程度で、こう言ってはなんなのですが、一番楽なお仕事なのです。

母子家庭の方は、フルタイムで働いている方が多いので、その年、いらっしゃれば母子家庭の方優先で選ばれる仕組みです。
また、子供会会長さんは、自治会にも通じるような方は必然的に選ばれていますので、積極的に動かれる方ばかりなのですから。

今年は母子家庭の方もいらっしゃらず、会長さんも張り切っておられる。
副会長っていいなぁ、という気持ちが皆にあったと思います。
その空気の中、サル気質のかおりさんが、
「しょう子さん、夜出にくいでしょ?昼間動かなきゃいけない会計と変わるわ。」

はっ?
夜出るのはほどんど会長さんのお仕事で、副会長さんは、年に1回あるかどうかくらいのはず?
どちらかと言えば、会長さんの変わりにお届け物をするくらいで、今年の会長さんを考えるとそれも、あまりなさそう。

皆、それを指摘したかったのですが、相手はかおりさん。
後の面倒ごとを想像して、誰も指摘することができなかったのです。

皆が何も言えないのをいいことに、二人だけの会話がすすみ、しょう子さんは会計を引き受けてしまったのです。
今日は“他の役員はみなさんのやりやすいように決めてください”と、気を使ってお休みされていますが、会長さんがいたら、結果は変わっていたでしょうか?